ベーリンガーインゲルハイムの研究開発
ファースト・イン・クラスやブレイクスルーが期待されるプロジェクトを発表
- 臨床、非臨床プロジェクト80のうち、65%はファースト・イン・クラスまたはブレイクスルーの可能性
- ファースト・イン・クラスのモノクローナル抗体には複数の炎症性疾患に対しての効果を期待
- 2025年までに、免疫、中枢神経系、腫瘍、呼吸器、心血管代謝の領域で15の新薬承認取得の可能性
報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
当プレスリリースについて
この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が4月25日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。なお、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。
2018年4月25日 ドイツ/インゲルハイム
研究開発主導型の製薬企業ベーリンガーインゲルハイムはこのほど、ドイツ・インゲルハイムの本社において研究開発に焦点をあてた記者会見を開き、最新のパイプラインなどを発表しました。2025年までに15の新薬承認を取得する可能性があり、新薬候補はファースト・イン・クラスやブレイクスルーとなる可能性を秘めたものが高い割合を占めています。
ベーリンガーインゲルハイムは2025年までに医療用医薬品の研究開発に200億ユーロ超を投じる予定です。直近の4年間では新たな適応症に対する14の承認を得ました。この中には新規分子化合物が4つ、米国食品医薬品局がブレイクスルー(画期的治療薬)に指定した医薬品が4つ含まれています。
ベーリンガーインゲルハイムのイノベーション担当取締役ミシェル・ペレは「もっとも到達したい目標は、80を超える臨床、非臨床プロジェクトから、患者さんのための医学的ブレイクスルーを達成することです。弊社の新薬候補の約65%はすでにブレイクスルーやファースト・イン・クラスの可能性が見えていますが、私たちはこれを上回る成果を目指しています。疾患の境界を超え、研究開発を新たな視点から見直します」と述べています。
こうした目標を達成するため、ベーリンガーインゲルハイムは疾患のメカニズムを深く掘り下げ、最先端の科学や技術を取り入れて、優秀なパートナーと共に新薬の創出、提供に取り組んでいます。
ベーリンガーインゲルハイムのチーフメディカルオフィサーであるクリストファー・コルシコはこう述べています。「弊社には世界で活動するサイエンティスト、医師などを含む約8000人のチームがあり、メンバーは皆、パイプラインとその進捗状況、患者さんにもたらす意義を感じ、決意を新たにしています。現在、炎症性の皮膚疾患と腸疾患を標的とするファースト・イン・クラスの阻害剤、革新的な抗がん剤候補、統合失調症に対する有望な予防法、2つの主力製品オフェブ®とジャディアンス®の主要な適応症に関する開発を進めており、何百万という患者さんに何年にもわたる健康維持と生活の質の改善をもたらすことができるものと考えています」
研究開発活動をさらに強化するため、イノベーションを目指す外部機関との連携を拡大させています。現在、大学や研究機関、バイオテクノロジー企業など70を超えるパートナーと協力関係を結んでいます。
「パートナーとの長期にわたる関係は、互いの配慮、共感、信頼、そして情熱の上に成り立っています。こうした価値観を共有する環境では、相乗効果が生まれ、より早くより優れた結果につながる可能性があります。私たちは新薬の研究開発に長年ゆるぎなく取り組んできており、その結果、患者さんが必要とする革新的医薬品を生み出すことができると考えています」とミシェル・ペレは語ります。
ベーリンガーインゲルハイムの最新パイプライン
免疫領域
ベーリンガーインゲルハイムのIL-36受容体阻害剤は、免疫疾患患者に対する標準治療に変化をもたらす可能性があります。
ファースト・イン・クラスの新規生物由来物質IL-36受容体抗体(BI 655130)の早期臨床試験では、汎発性膿疱性乾癬患者に単回投与した後、有望な結果が得られました。この結果は、複数の炎症性疾患に対しても幅広い有効性を示す可能性があることを示唆しています。
現在、掌蹠膿疱症、潰瘍性大腸炎、クローン病、その他の慢性炎症性疾患など、皮膚および腸の免疫介在性疾患を対象としてさらなる試験を実施しています。
腫瘍領域
腫瘍細胞指向性療法では、これまで創薬標的とすることが困難だった、いわゆるundruggableな伝達経路において、腫瘍細胞を直接標的とする治療薬の研究を進めています。
また、がん免疫療法の研究チームは患者自身の免疫力を活性化させる治療法に加え、腫瘍細胞指向性療法と免疫細胞指向性療法をうまく併用して有効性を得る方法の研究に取り組んでいます。
免疫細胞指向性療法の併用、例えば、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、T細胞engager、さらにSMAC mimeticをはじめとする免疫原性細胞死誘導剤とPD-1チェックポイント阻害剤BI 754091の併用を研究しています。
腫瘍細胞指向性療法に関して、ベーリンガーインゲルハイムの腫瘍研究ポートフォリオには10以上の臨床段階のプロジェクトがあります。KRAS、WNT、p53といった経路に対する新薬候補の研究開発を進めており、今後12~24ヵ月以内にこの多くが臨床試験の段階に進む予定です。
中枢神経系
中枢神経系領域においては、PDE9阻害剤の研究プログラムを統合失調症の再発予防、さらに初回エピソード精神病予防に拡大させました。
中枢神経系領域での研究の焦点は、脳回路における基礎的な機能障害が精神疾患のどのような症状や形質として現れるかを理解することです。現行の疾患分類は疾患の基礎的なメカニズムを反映したものではありませんが、この研究はこのような分類システムを超越するために重要なものです。ベーリンガーインゲルハイムが取り組んでいるのは、統合失調症、アルツハイマー病、うつ病などの精神疾患です。
線維症(呼吸器疾患、心血管代謝疾患)
線維性疾患にはその病態生理とメカニズムに多くの共通点があることから、ベーリンガーインゲルハイムは様々な線維化を伴う間質性肺疾患(ILD)を対象にニンテダニブの臨床試験を行っています。
間質性肺疾患を伴う全身性強皮症(SSc-ILD)に対するニンテダニブの有効性・安全性を検討する第3相試験(SENSCIS試験)および進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)に対するニンテダニブの有効性・安全性を検討する第3相試験(INBUILD試験)がそれぞれ実施されています。SENSCIS試験の登録は完了し、2018年12月に終了の予定です。INBUILD試験は2018年第2四半期に登録を完了する見通しです。
肝臓に障害をもたらすもう1つの線維性疾患である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に関して、ベーリンガーインゲルハイムにはその代謝、炎症、線維化の各要素についての深い知識があり、その知識を利用して先駆的化合物AOC3阻害剤の第II相試験を行っています。
心血管代謝疾患
心血管代謝疾患に関して、ベーリンガーインゲルハイムはEMPA-REG OUTCOME®試験で得られた結果をもとに、エンパグリフロジンのベネフィットを糖尿病以外の疾患でも評価しています。糖尿病の有無にかかわらず、慢性腎臓病や慢性心不全の患者におけるエンパグリフロジンの有効性と安全性を評価する第III相試験が進行中です。2019~2020年にはEMPA-KIDNEY試験とEMPEROR HEART FAILURE試験のデータが得られる予定です。
ベーリンガーインゲルハイムについて
患者さんの健康とQOL(生活の質)を改善することは、研究開発主導型の製薬企業ベーリンガーインゲルハイムの使命です。私たちは治療選択肢が存在せず、未だ十分な治療法が確立していない疾患に焦点を合わせ、患者さんが健やかな生活を確保できる革新的な治療法の開発に専念しています。アニマルヘルスでは、先進的な病気の予防と早期発見・早期治療に注力しています。
ベーリンガーインゲルハイムは世界におけるトップ20の製薬企業の1つで、1885年の設立以来、株式を公開しない企業形態を維持しています。約50,000人の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品の3つの事業分野において、革新的な製品開発を通した価値の創出に日々取り組んでいます。2017年度、ベーリンガーインゲルハイムは約181億ユーロ(2兆2,925億円)の売上高を達成しました。研究開発費は30億ユーロ(3,800億円)を超え、売上高の17.0%に相当します。
株式を公開しない企業形態の特色を生かし、ベーリンガーインゲルハイムは世代を超え、短期的な利益ではなく長期的な成功を重視しています。したがって、私たちは、研究活動において、自社のリソースに加えて、オープンイノベーションと戦略的アライアンスを重視し持続的な成長を目指しています。ベーリンガーインゲルハイムは、私たちが関連するあらゆるリソースを尊重し、人類と環境に対する責任を果たしていきます。
詳細は下記をご参照ください。
詳細は下記をご参照ください。
http://www.boehringer-ingelheim.com/
(ベーリンガーインゲルハイム)
http://www.boehringer-ingelheim.jp/
(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)