ベーリンガーインゲルハイムとリリー、
エンパグリフロジンの慢性心不全におけるプログラムを新しい運動能力試験に拡大
- EMPERIAL試験では、慢性心不全患者において運動能力と心不全(HF)の症状に対するエンパグリフロジンの治療効果を評価します1,2。
- EMPERIAL試験は、慢性心不全におけるSGLT2阻害剤の最も包括的な臨床プログラムの一部です3,4。
報道関係者向け情報
このホームページでは、国内の報道関係者の方々を対象に、ベーリンガーインゲルハイムジャパングループ各社の情報ならびに関連情報をご提供しています。一般の方に対する情報提供を目的としたものではありませんのでご了承ください。
当プレスリリースについて
この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国 イーライリリー・アンド・カンパニーが2017年3月6日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したもので、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。なお、日本におけるジャディアンス®錠の効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントのリスク減少に関連する効能・効果および、慢性心不全の適応は取得しておりません。
2018年3月6日 ドイツ/インゲルハイム、米国/インディアナポリス
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、慢性心不全におけるエンパグリフロジンの試験プログラムをEMPERIAL試験に拡大する計画であると発表しました。これらの試験では、2型糖尿病であるかどうかに関わらず、慢性心不全患者の運動能力および心不全の症状に対するエンパグリフロジンの治療効果を評価します。EMPERIAL試験は2つの第3相試験で構成されており、心不全患者の日常の運動能力に対し、エンパグリフロジンによる12週間の治療効果を評価します1,2。
EMPERIAL試験は2017年3月のEMPEROR試験の開始後に計画されました3,4。EMPEROR試験は心不全患者の長期的な罹患率と死亡率のアウトカムに着目しているのに対し、EMPERIAL試験は運動能力と心不全の症状に対して考えられるベネフィットを調査します3,4。これらの試験は心不全に対しエンパグリフロジンの効果を評価したEMPA-REG OUTCOME®試験から入手したデータに基づいています5。
イーライリリー・アンド・カンパニー糖尿病事業部製品開発バイスプレジデントのジェフ・エミック(Jeff Emmick)M.D., Ph.D.は次のように述べています。「心不全の症状はクオリティ・オブ・ライフに深刻な影響を与え、心不全患者さんの4分の3が日常活動に困難をきたしています。現在、慢性心不全の患者さんの日常生活の改善に役立つ治療選択肢は限られています。エンパグリフロジンがこうしたアンメットニーズへの対応に貢献できるかどうか確認できることを期待しています。」
心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です6。世界における患者数は2,600万人で、高い罹患率と死亡率を伴います7。心不全を発症した患者の約50%が5年以内に死亡し、アメリカ合衆国とヨーロッパにおいては入院の原因の第1位となっています6,8。
ベーリンガーインゲルハイムの心臓代謝治療領域のグローバル臨床開発責任者であるマルティナ・ブルックマン(Martina Brückmann)教授は次のように述べています。「EMPA-REG OUTCOME® 試験において、エンパグリフロジンにより、心血管疾患を有する2型糖尿病患者さんにおいて心不全による入院リスクが有意に低下したのは心強い結果です。ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリーは、エンパグリフロジンが2型糖尿病合併の有無に関わらず、慢性心不全患者さんの日常の運動能力とクオリティ・オブ・ライフを改善するかどうかを調査するためにEMPERIAL試験を実施する予定です。」
【参考情報】
EMPERIAL試験について
EMPERIAL試験は2つの第3相 無作為化二重盲検試験で構成されます。試験では、エンパグリフロジン10 mgを1日1回12週間継続した場合の運動能力と心不全の症状への効果を、駆出率が保持された、あるいは駆出率が低下した慢性心不全の患者さんにおいて、プラセボと比較して評価します*。これは身体運動機能の一般的な指標である6分間歩行テストによって測定します。本試験に日本人は含まれません。
- EMPERIAL-preserved [NCT03448406]: 駆出率が保持された慢性心不全(HFpEF)患者におけるエンパグリフロジンの効果を評価します。試験では機能の評価項目として患者が6分間に歩ける距離と心不全の症状に注目します1。
- 主要評価項目:6分間に歩いた距離で測定する運動能力のベースラインから12週目までの変化
- 予定患者数:約300人
- 試験完了予定:2019年
- EMPERIAL-reduced [NCT03448419]: 駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)患者におけるエンパグリフロジンの効果を評価します。試験では機能評価項目として患者が6分間に歩ける距離と心不全の症状に注目します2。
- 主要評価項目: 6分間に歩いた距離で測定する運動能力のベースラインから12週目までの変化
- 予定患者数:約300人
- 試験完了予定:2019年
*駆出率は心臓が収縮するたびに送り出される血液量の割合です。心拍ごとに心臓は収縮し、弛緩します。心臓が収縮すると、2つの心室から血液が駆出されます。心臓が弛緩すると、心室に血液が満たされます9。
HFpEFでは心筋が正常に収縮しますが、心室の筋肉は固くなっています。心室に血液が満たされているときに十分弛緩しないため、心臓が正常に機能しているときと比較して心臓に流れ込む血液が少なくなります9。
HFrEFでは心筋が効果的に収縮しておらず、心臓が正常に機能している場合と比較して全身に送り出される血液が少なくなります10。
HFpEFおよびHFrEFによる心不全の症状は、主に呼吸困難、浮腫および疲労で類似しています。
心不全について
心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です6。心不全の症状には、呼吸困難、浮腫、疲労などがあります11。患者数は多く、世界中で2,600万人もの人が慢性心不全に罹患しています7。心不全と診断された患者の約50%が5年以内に死亡することから、治療ニーズが高い疾患と言えます8。また、心不全は米国と欧州における65歳以上の主な入院原因です7。心不全は糖尿病患者で大変多く見られますが12、心不全患者全体の約半分は糖尿病に罹患していません7,13。
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーの提携について
2011年1月、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、糖尿病領域におけるアライアンスを結び、同領域において大型製品に成長することが期待される治療薬候補化合物を中心に協働していくことを発表しました。同アライアンスは、ベーリンガーインゲルハイムが持つ研究開発主導型イノベーションの確かな実績とイーライリリー・アンド・カンパニーが持つ糖尿病領域での革新的な研究、経験、先駆的実績を合わせ、世界的製薬企業である両社の強みを最大限に活用するものです。この提携によって両社は、糖尿病患者ケアへのコミットメントを示し、患者のニーズに応えるべく協力しています。
ベーリンガーインゲルハイムについて
研究開発主導型の製薬企業ベーリンガーインゲルハイムは、130年以上にわたり、医療用医薬品と動物用医薬品において革新的な医薬品を提供してきました。ベーリンガーインゲルハイムは世界におけるトップ20製薬企業の1つで、株式を公開しない独立した企業形態を維持しています。約50,000人の社員が、医療用医薬品、アニマルヘルスおよびバイオ医薬品の受託製造の3つの事業分野において、革新的な製品開発を通した価値の創出に日々取り組んでいます。2016年度、ベーリンガーインゲルハイムは159億ユーロ(1兆9,133億円)の売上高を達成しました。30億ユーロを超える研究開発費は売上の19.6%に相当します。
ベーリンガーインゲルハイムにとって社会的責任を負うのは当然のことです。「Making More Health(人々のより良い健康の実現を目指して)」などの社会的なプロジェクトへの関与はそのためです。ベーリンガーインゲルハイムは社員の多様性を促し、社員の様々な経験やスキルの活用を積極的に進めています。また、環境保護と持続可能な社会の実現に向けて全力を尽くしています。
なお、ベーリンガーインゲルハイムはフランスに本社を置くサノフィ社と戦略的事業交換を行い、2017年1月のクロージングを以て、ベーリンガーインゲルハイムのコンシューマーヘルスケア(CHC)事業をサノフィへ譲渡し、サノフィの動物用医薬品事業であるメリアルを取得しました。
日本では日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社が医療用医薬品ビジネス、ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン株式会社が動物用医薬品ビジネス、そしてベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社が医療用医薬品製造を担っており、ベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が上記3つの事業会社にサービスを提供しています。
イーライリリー・アンド・カンパニーの糖尿病事業について
イーライリリー・アンド・カンパニーは1923年に世界で初めてインスリン製剤を開発して以来、糖尿病ケアの分野において常に世界をリードしてきました。現在も、糖尿病をもつ人々やケアを行う人々の様々なニーズに応えることで、この伝統を築いています。研究開発や事業提携、拡大し続ける幅広い医薬品ポートフォリオ、そして、医薬品からサポートプログラムをはじめとする実質的なソリューションを提供し続けることを通じて、世界中の糖尿病をもつ人々の生活の改善に努めます。詳細はウェブサイトをご覧ください。
イーライリリー・アンド・カンパニーについて
イーライリリー社は、世界中の人々の生活をより良いものにするためにケアと創薬を結び付けるヘルスケアにおける世界的なリーダーです。イーライリリー社は、1世紀以上前に、真のニーズを満たす高品質の医薬品を創造することに全力を尽くした1人の男性によって設立され、今日でもすべての業務においてその使命に忠実であり続けています。世界中で、イーライリリー社の従業員は、それを必要とする人々の人生を変えるような医薬品を開発し届けるため、病気についての理解と管理を向上させるため、そして慈善活動とボランティア活動を通じて地域社会に利益を還元するために働いています。
日本イーライリリーについて
日本イーライリリー株式会社は、米国イーライリリー・アンド・カンパニーの日本法人です。人々がより長く、より健康で、充実した生活を実現できるよう、革新的な医薬品の開発・製造・輸入・販売を通じ、がん、糖尿病、筋骨格系疾患、中枢神経系疾患、自己免疫疾患、成長障害、疼痛、などの領域で日本の医療に貢献しています。
http://www.boehringer-ingelheim.com
(ベーリンガーインゲルハイム)
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp
(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)
http://www.lilly.com
(イーライリリー・アンド・カンパニー) 03-3815-2050 日本糖尿病財団 事務局
http://www.lilly.co.jp
(日本イーライリリー)
References
- A phase III randomised, double-blind trial to evaluate the effect of 12 weeks treatment of once daily EMPagliflozin 10 mg compared with placebo on ExeRcise ability and heart failure symptoms, In patients with chronic HeArt FaiLure with preserved Ejection Fraction (HFpEF) (EMPERIAL – preserved). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03448406?term=EMPERIAL&rank=1. Last accessed March 2018.
- A phase III randomised, double-blind trial to evaluate the effect of 12 weeks treatment of once daily EMPagliflozin 10 mg compared with placebo on ExeRcise ability and heart failure symptoms, In patients with chronic HeArt FaiLure with reduced Ejection Fraction (HFrEF) (EMPERIAL-reduced). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03448419?term=EMPERIAL&rank=2. Last accessed March 2018.
- EMPagliflozin outcomE tRial in Patients With chrOnic heaRt Failure With Preserved Ejection Fraction (EMPEROR-Preserved). Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03057951?term=emperor&rank=2. Last accessed January 2018.
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- European Summary of Product Characteristics Jardiance®, approved January 19, 2017. Data on file.
- Jardiance® (Full Prescribing Information). Mexico; Boehringer Ingelheim Pharmaceuticals, Inc; 2017.
This press release contains forward-looking statements (as that term is defined in the Private Securities Litigation Reform Act of 1995) about clinical trials to evaluate JARDIANCE as a treatment for adults with heart failure and reflects Lilly's current belief. However, as with any pharmaceutical product, there are substantial risks and uncertainties in the process of development and commercialization. Among other things, there can be no guarantee that future study results will be consistent with the results to date or that JARDIANCE will receive additional regulatory approvals. For further discussion of these and other risks and uncertainties, see Lilly's most recent Form 10-K and Form 10-Q filings with the United States Securities and Exchange Commission. Except as required by law, Lilly undertakes no duty to update forward-looking statements to reflect events after the date of this release.